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DISEASE
性感染症(STD)について
性感染症(STD)は性行為(粘膜接触)を行うことで感染する病気です。
淋病
淋病について
淋菌感染症は、クラミジアに次いで感染者数の多く、とても古くからある代表的な性感染症(STD)です。淋病の原因となる菌は非常に弱く、単独で存在することはできません。
そのため、淋病の感染経路は必ず、ヒトからヒトになります。 1回の性交で感染する確率は、30%~50%と非常に高く、感染を放置すると重症化を起こします。
宿主である人のライフスタイルの変化に合わせて性器(泌尿生殖器)や咽頭、眼へ感染するなどと部位を増やしたり、治療に使われる薬が効かない菌に変化するなどして感染を拡大させています。
症状について
淋病に感染してから症状が発現するまで、2~7日ほどの潜伏期間があります。男女で発現する症状が異なっています。
男性では、激しい痛みやペニス全体が腫れ上がるほどの激しい症状が出ることがあります。
女性は、無症状な事がほとんどで、感染に気づくことなく性行為を行ってしまうと、パートナーへ感染させてしまうことがあります。
男性の場合
歩行が困難なほど、激しい痛みが伴うことがあります。
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尿道に違和感、かゆみがある。
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尿道に熱感がある。
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性器から多量の黄白色のドロッとした膿がでる。
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排尿時に激しい痛みがある。
放置すると症状の悪化、尿道狭窄症(尿道が狭くなる)、精巣上体炎、男性不妊症の原因になることもあります。
症状は強く、陰囊内容は腫大し、局所の疼痛は歩行困難を訴えるまでになることがあります。但し、近年では症状がはっきりしない場合があります。 症状が改善した後でも感染が継続しており、治っていないことが多いと言われているため、完治しているかの検査が重要になります。
女性の場合
女性の感染者の大半が無症状で気づかない事がほとんどです。感染者の80%が無症状と言われています。
感染初期はあまり症状がないですが、進行すると卵管炎、腹膜炎といった病気が発症します。
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おりものの量が増えた。
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緑黄色の粘度の高いおりものがでる。
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外陰部に軽いかゆみ、腫脹がある。
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不正出血が出現する。
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膀胱炎症状(頻尿・排尿痛)
放置すると症状の悪化、卵管炎、腹膜炎、子宮内膜炎、子宮外妊娠、急性膀胱炎、不妊症の原因になることもあります。妊娠中の淋病感染はとても危険で、流産、骨盤内感染、早産、破水の原因になってしまうことがあります。
治療・予防
抗生剤(ロセフィン)の点滴による治療を行います。
淋病は、薬が効きにくい耐性菌が増加しており、治療薬が限られています。 検査によって原因を特定し完治を目指します。
※セフェム系薬剤へのアレルギーがある方はアナフィラキシーショックを起こす恐れがあるため、必ずお申し出下さい。
副作用
吐き気、目眩、発疹、下痢、蕁麻疹、発熱、かゆみなど。
クラミジア
性器クラミジアについて
性器クラミジアは、日本において最も多い性感染症(STD)であり、若年層の女性に多い性感染症(STD)です。
クラミジアの感染経路の主は、性交や性行為類似行為による、粘膜の接触や文筆物との接触により、ヒトからヒトに感染します。
また、新生児においては、母親からの産道感染で母子感染することがあります。 無症状または症状が出ていても軽度なことが多いため、感染に気づかず、パートナーなどとの性行為によって感染を拡大させてしまう原因になる可能性があります。
クラミジアの病原体、クラミジア・トラコマチスは感染力がとても強いため、知らず知らずのうちに、あなた自身が感染源になってしまうことがあります。大切な人の為に早期の検査、治療を推奨しています。
症状について
感染していても、無症状、また症状が出ていても軽度なことが多いため、気づかないことが多くあります。
潜伏期間は1~3週間で、検査可能時期は感染機会から24時間以上です。
男性の場合
無症状または、症状が出ていても軽度で気づかないことも多いです。5割の方は、症状に気づかないと言われています。
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陰部に軽いかゆみ、不快感がある。
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少量の分泌物がでる。
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尿道に炎症が起こるため、排尿時に軽い痛みがある。
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性交時、軽い痛みがある。
放置すると、症状の悪化、精巣上体炎、男性不妊症の原因となることもあります。
また、粘膜が炎症するために、HIVをはじめ、他の性感染症(STD)への感染リスクも高まります。
症状が改善した後でも、感染が継続しており治っていないことが多いと言われているため、完治しているかの検査が重要になります。
女性の場合
普通は無症状で気づかない事がほとんどです。7~8割の方は症状に気づかないです。
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おりものの量が少し増えた。
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外陰部に軽いかゆみ、腫脹がある。
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排尿時に軽い痛みがある。
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性交時に軽い痛みがある。
放置すると、症状の悪化、卵管炎、腹膜炎、子宮外妊娠、不妊症の原因になることもあります。
また、粘膜の炎症によりHIVをはじめ、他の性感染症(STD)への感染リスクも高まります。感染する機会や回数が増えると不妊にもつながります。さらに、子宮外妊娠や流産、早産にもなる原因が高くなります。
予防・治療
抗生剤の内服による治療を行います。マクロライド系、テトラサイクリン系および、ニューキノロン系の抗生物質を使用します。服用期間は薬の種類によって異なりますが、1週間程度で終わる場合がほとんどです。
クラミジアは男女間でお互いに感染させるピンポン感染があるため、両者の治療を同時に行うことが重要になります。
コンドームの使用、感染が疑われる相手との性的交渉を避けることで感染の予防になります。
副作用
下痢、腹痛、吐き気、腹部不快感、腹部膨満、発疹、蕁麻疹、かゆみなど。
梅毒
梅毒について
梅毒は2011年を境に現在に至るまで、急激に患者数が増加しています。2023年の感染者は最も多く、約3700人でした。特に若い女性を中心に増加傾向にあり、梅毒に感染していることに気が付かずに妊娠をしてしまうと、出産時の母から新生児への産道感染を引き起こす可能性があります。
症状について
感染してから症状が出るまでの期間は約3週間です。 感染してから3週間、3ヶ月、3年を目安に症状を変えて身体に異変が生じます。目に見える症状は消失することもありますが、梅毒は静かに進行し重症化していきます。
第1期(感染後から3週間後から3ヶ月の間に症状が現れる時期)
性器や肛門、口唇などの感染部位に硬いしこり「初期硬結(しょきこうけつ)」ができます。
男性:亀頭や陰茎、冠状溝(亀頭と陰茎の間の部分)、性器周辺の皮膚
女性:膣内、大陰唇・小陰唇周辺の皮膚。
男女共通して口唇にできることもあります。これらの症状は痛みを伴わなかったり、見えにくい部位に症状がでた際は見逃してしまうこともあります。また、治療せずに放置をしていても、2〜3週間ほどで症状は消えて無症状になります。
第2期(感染してから3ヶ月以上経過した時期)
時期の経過と共に菌が血液を介して全身に広がり、粘膜や、手のひら、足の裏を含めた全身に現れます。 発熱や倦怠感、頭痛、リンパ腺の腫れ、のどの痛みや筋肉痛といった症状をはじめ、梅毒性バラ疹、梅毒性脱毛、扁平コンジローマ、梅毒性粘膜疹などが見られることもあります。
第2期の症状も第1期と同じように、時間の経過とともになくなりますが、感染症が完治した訳ではありません。 症状に気づく事なく、そのまま放置していた場合は、第3期梅毒へと進行してしまいます。
3ヶ月から3年に渡り、再発、無症状を繰り返し、第3期、4期に移行していくことがあります。
治療
・サワシリン/アモキシシリン250mgによる内服治療。1日3回、1回2錠ずつを28日継続。
※ペニシリン薬剤へのアレルギーがある方はサワシリンによる内服治療が実施できませんので、他薬剤をご案内致します。
・ミノマイシン100mgによる内服治療。1日2回、1回1錠ずつを28日継続。
※テトラサイクリン系薬へのアレルギーがある方はミノマイシンによる内服治療が実施できません。
副作用
発疹、かゆみ、発熱、下痢、軟便、吐き気、嘔吐、食欲不振、腹痛、味覚異常など。
B型肝炎・C型肝炎
B型感染について
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)が、血液や体液を介して感染する肝臓の病気です。 血液や、体液を介して感染するため、性的接触、粘膜の接触により感染する可能性があります。
HBVは、感染した時期や健康状態によって、一時的な感染に終わるもの(一過性感染)と、ほぼ生涯にわたり感染が継続するもの(持続感染)とに大別されます。
現在、国内のHBV感染者数は、110万〜140万人といわれていますが、そのほとんどが母子感染(垂直感染)によるものです。 以前は輸血による感染もありましたが、1972年にHBs抗原検査が開始されてからは、輸血によるHBV感染者数は減少しており、現在ではその危険性はほとんどありません。
我が国の成人における急性B型肝炎の多くは、性感染によるものと考えられています。
B型肝炎の症状について
B型肝炎の症状は、急性肝炎と慢性肝炎に大別されます。
急性肝炎
感染してから1〜6ヶ月の潜伏期間を経て、全身倦怠感や食欲不振、悪心、嘔吐のほか、濃いウーロン茶のような褐色尿が出る、目の白い部分(眼球結膜)が黄色くなって、その後皮膚も黄色みを帯びてくる黄疸などの症状が出現します。
中には、激しい炎症による肝不全を起こすことがあります。このような症状があれば、速やかに医療機関を受診することが必要です。
第2期(感染してから3ヶ月以上経過した時期)
時期の経過と共に菌が血液を介して全身に広がり、粘膜や、手のひら、足の裏を含めた全身に現れます。 発熱や倦怠感、頭痛、リンパ腺の腫れ、のどの痛みや筋肉痛といった症状をはじめ、梅毒性バラ疹、梅毒性脱毛、扁平コンジローマ、梅毒性粘膜疹などが見られることもあります。
第2期の症状も第1期と同じように、時間の経過とともになくなりますが、感染症が完治した訳ではありません。 通常はこの段階までで、梅毒の発見及び治療を行います。ですが、症状に気づくこなく、適切な治療を行えず、そのまま放置していた場合は、第3期梅毒へと進行してしまいます。
3ヶ月から3年に渡り、再発、無症状を繰り返し、第3期、4期に移行していくことがあります。
C型肝炎について
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することにより起こる肝臓の病気です。
血液や体液を介して感染するため、性的接触、粘膜接触により感染する可能性もあります。
HCVに感染すると約70%の人が持続感染者となり、生涯に渡り感染が継続する場合があります。
C型肝炎の症状について
HCVは、血液を介して感染し、2〜14週間の潜伏期間を経て急性肝炎を起こす場合があります。
ですが、急性肝炎を起こすことは比較的まれで、多くは感染しても自覚症状がない場合が多いです。
また、60〜80%の人では、ウイルスが自然に排除されることなく慢性化し、慢性肝炎になると言われています。肝硬変や肝がんが末期状態に進行しますと肝不全状態となり、黄疸や腹水貯留、意識障害が進行していきます。
HIV
HIVについて
や粘膜の接触で感染するので、性行為以外では輸血、針刺し、出産時などでも感染します。 HIVが感染すると、白血球数が減少していき、8年くらいで免疫機能が障害されます。この状態をAIDS(後天性免疫不全症候群)と言います。健康な人であればかからないような感染症にかかりやすくなり、命に関わることになります。 今は抗HIV薬によりAIDSの発症を長期に抑えることが可能になり、命を奪われる疾患ではなくなっています。
症状について
感染してから症状が出るまでの期間
初期感染は、HIV感染から2〜6週間その後潜伏期間、無症侯期5〜10年程度。短期間でAIDSを発症する場合もあります。
感染 期(HIV感染から2〜6週間)
HIV感染者の50%〜90%に症状が出ます。風邪やインフルエンザと似た症状で、発熱、リンパ節が腫れる、咽頭炎、皮疹(ひしん)、筋肉痛、頭痛、下痢等の症状があらわれます。数週間程で症状が消えてしまい5〜10年程の無症候期に入ります。 症状が軽度の為、風邪やインフルエンザと自己判断してしまい、気がつかないことも多いです。